古くなったピアノを蘇らせる方法として「オーバーホール」があります。
オーバーホールとは、弦、チューニングピン、ハンマー、ダンパーフェルトなどの部品をすべて新しい部品に交換し、買った当時の状態に近い、本来の響きを蘇らせることを言います。
ピアノの寿命は100年以上と言われています。古いから買い替えしかないと諦める前に、オーバーホールという手段があることも忘れないでください。
オーバーホールがすべての部品を交換する大掛かりな作業なのに対して、修理は悪くなった所のみ調整や部品の交換を行います。
オーバーホールの場合、「○箇所修理して△△円」というパック商品を扱っている業者もありますが、これだと修理が必要でない部分にも手が入ってしまう可能性があります。
これでは、本来のブランドの音ではなくなってしまいます。昔の部品の方が精度が高い場合も多いため、不必要な部品交換で性能が落ちてしまうのです。
人間の体だって、古くなっているからと言って病気以外の部分まで手術したりしませんよね? ピアノも同じです。
あくまでも、部品の交換は最低限にし、生かせるものは生かすべきです。無駄な部品交換ではなく、音の調整に時間とお金を掛けるべきなのです。
本当に大規模なオーバーホールが必要なのか?大切なピアノにとって、どこまで修理が必要なのかを見極めてくれる修理業者を選ぶことが重要です。
では、どのような時にオーバーホールを考えたらよいのでしょうか。いくつか例を挙げてみました。
※上記の場合でも、最低限の修理で済むケースもあります。
古くなったピアノは、買い替えを考えがちですが、思い出がいっぱい詰まった大切なピアノこそ、オーバーホールがおすすめです。
昔のピアノは丁寧に作られたものが多く、現在よりも精度が良い部品が使われている場合も多いそうです。
とくに日本の職人が作った60~70年代のピアノ(Made In 浜松など)は材質が良く、タッチ、音色が優れていて、世界からも注目されている逸品です。オーバーホールすれば、良い品質をそのままに、長く長く愛用できるのです。
でも、そのカギを握っているのが、修理業者さんです。オーバーホールによってピアノの性能が保たれるかどうかは、修理業者さんの技術や交換する部品によっても大きく違ってきます。
とくに最近は、中国製の安価な部品を使用している業者も多いので、業者選びはとても重要になります。
実は、私も子どもの頃に使っていたピアノを直したい一心で、オーバーホールを業者さんに依頼しました。
「修理できない」「新品を買った方が良い」と言われたピアノでも、熟練した職人さんならきっと復元できるはず。私のオーバーホール体験談のページでは、その時にお伺いしたアドバイスなども紹介しているので、読んでみてください。