買い替え?それともオーバーホール?
何十年も使用していなかったピアノや、水害、火事に遭ったピアノの復元例をもとに、オーバーホールのお勧めポイントを紹介しています。
新しいピアノに買い替える前に…
愛着や思い出のあるピアノ。でも、タッチが重くなったり、音色が硬くなってしまったり…。そんなトラブルが起こると「そろそろ寿命かな?」なんて想像をしてしまいますよね。
しかし、ピアノの寿命は100年以上と言われています。状態にもよりますが、古くなったピアノも修復やオーバーホールによって改善することができるのです。
また、ピアノは楽器でもあり、家具でもあります。外装が傷ついたピアノは再塗装によって新品同様の輝きを取り戻せますし、ピアノの内部も修理やオーバーホールをすることで改善することができます。
家族の物語を温かく見守るピアノは、大切な夢を受け継ぐ存在でもあります。新しいピアノに買い替える前に、今持っているピアノを蘇らせることを考えてみてはいかがでしょうか。
水害や火事に遭ったピアノが復活した例も!
2011年12月31日に開催された「第62回NHK紅白歌合戦」の東北応援企画にて、東日本大震災の津波で破壊された中学校のピアノがピアノ業者の修理で蘇り、紅白出演を果たしたというエピソード(※1)があります。そのピアノは、ほぼすべての鍵盤がはがれ落ち、弦もちぎられた状態でいわば瀕死の状態だったそうです。
海水や砂にまみれたピアノを修復するのは大変な作業だったようですが、腐食したねじ1本に至るまで内部の部品もすべて交換し、見事蘇ることができたと言います。
そのほかにも、震災では海水に長く浸かってしまい、錆の浸食が進んでしまったピアノが修復されたという例も少なくありません。
また、火事や水害等に遭ったピアノがオーバーホールで復元したという例も数多くあります。火事の消化のため水浸しになり、ピアノの中までススだらけになってしまった状態でも、音、タッチ、チューニングピンまで元のように再現することができるのです。
何十年も使用していなかったピアノも元通りに
何十年も放置されていた状態でもオーバーホールによって復元できる可能性があります。
フェルト類、皮革類などの消耗部品や、ハンマー、鍵盤関係のブッシングクロス、弦を交換することにより、元の音を蘇らせることができるのです。
そして、思い出のつまったピアノをさらに何十年先まで使い続けることができます。もちろん、職人の腕にも左右されますが、ピアノの復元力は見事ですね。
新たな命が吹き込まれたピアノは、さらに価値のある音色を生み出します。新しいピアノにはない個性。それが、歴史を持つピアノの一番の魅力だと思います。